スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)を読んで(前編)

2021年6月29日

スマホ脳という本を読んで面白いと感じたので、備忘録として残します。

今回は本の前半部分です。

私たちの脳は現代に最適化されていない

これがこの本の基盤となっている。

私たちの祖先が誕生してから現在に至るまでの間、人類はいかに生き残るかということを最重要課題にしていた。

そして、脳はいかに生き残るかに照準を合わせた作りになっている。

飢餓からどうやって生き延びるか。

危険な獣からどうやって生き残るか。

感染病をいかに回避するか。

集団からいかに仲間外れにされないようするか(仲間はずれ=死)。

現代ではこのようなことは起きない。

しかし、上記のような過酷な環境は、人類の歴史の99.9%の期間にあたる。

つまり、飢餓や危険な動物や仲間外れを気にしないでも良くなったのは、歴史から考えると本当に極々最近である。

そのため、人間の脳は現代に適した作りになっておらず、未だに狩猟生活をしていたときのままだ。

このずれが、現代で問題になっているストレス・鬱・精神的な病気、そしてスマホ依存につながっているという。

ストレスは生き延びるために重要だった

我々の祖先が厳しい環境で生き残るために、ストレスはとても大切だった。

森の中で虎に出会った時にストレスを感じることで、心臓がバクバクして身体中に血流を送ることで、すばやく逃げることを可能にする。

同様に、不安に思う感情というのは、何かしらの危険を察知してそれから逃れようとするためのトリガーになっている。

森の中で茂みでがさがさ音がした場合には不安になる。

不安によってストレスが発生し、生き延びるための仕組みが動作する。

つまり、負の感情は生き残るための仕組みの一部だった。

しかし、現代でもこの仕組みが至るところで発生してしまう。必要がないのに。

人前でスピーチをするときに緊張して不安になるのは、多くの人が自分を見て、自分が発言したことによって自分がどう思われるのかが気になってしまうからだ。

変なことをいって、周りから仲間外れにされるようなことになれば死に直結する、脳はそう捉えている。

しかし、現代ではそのようなことは起きない。

ここが脳と現代の食い違いであり、現代人を苦しめる要因になっている。

前半の感想

人の脳のつくりと現代が大きく食い違っているという発想は全くなかったので、目から鱗でした。

たしかに、人類の歴史に比べれば、安全に暮らせるようになったのは本当に極々最近の話で、脳が現代社会に都合の良いように進化する時間はないなと思いました。

誰しも不安になったり、ストレスを感じたりすることがあると思いますが、それは自分が悪いわけではなく、脳が生き残るために一生懸命働いてくれている、警告してくれている、と考えると、なんとなく自分のせいではない気がして楽になるのではないかと感じました。