映画 「楽園」をみた感想

佐藤浩市が好きなのとAmazon Primeで見れたので、見てみました。

内容をものすごく簡潔にいうと、三人の登場人物が村八分のような状態になって、それぞれ不幸になっていくという悲しいお話でした。

これをみると、「田舎暮らしがいいなー」と思っている人も、「田舎怖い!」と思うことは間違いないと思います。

昔の自分であれば、この映画の感想は「なぜ日本の田舎はこんなにも陰湿なのだろうか。こんなことだから過疎が進むんだ」というものだったと思います。

しかし、少し前にスマホ脳という本を読んで、ヒトの本質を学んだことがあるので、少し違った感想になりました。

スマホ脳という本の中では、現在の人間の脳はジャングルにいた大昔とさほど変わっていないことが書かれていました。

そして、なぜヒトが噂話や仲間外れをするのかにも少し触れられていました。

大昔の私たちの祖先の死因の1割から2割は、集団内の別のヒトに殺された、というものでした。

それを防ぐためには、危険だと思われる人物にいち早く気づき、その人物を集団から外す必要があります。

気づくための方法が噂話です。

あの人は怒りっぽい、すぐに暴力をふるう、仲間を騙す、裏切る、などの情報を噂話から得ます。

そして、噂話から得た情報を元にその人物を遠ざけて、危険を事前に防ぐわけです。

この習性が、いまだに私たちに残っていることになります。

つまり、「田舎の人は噂話が好き」というのは間違いで、本能として「生きるか死ぬかのために噂話をしている」ことになります。

村八分という行為も同様です。好きだからそうするとか、意地悪だからそうするのではなく、生存のために本能的にそうしているのです。

噂話や村八分という行為が田舎に行くほど強くなるのは、お互いが助けあわないと生きていけない環境だからだと思います。

都心であれば、いろいろなサービスがあり、一人でもお金を払えば不自由なく暮らしていけます。

しかし、田舎は都心と違って自分でやらなくてはいけないことがたくさんあります。

もし体調を崩したり怪我でもしたら、一人の力で生きていくことはなおさら困難になります。

そのため、「集団で生きる」ということは重要になります。

それは、みんなと仲良くすることを指すとともに、集団の中の危険な人物を外に追いやる、ということも指すのです。

悪者を一人作ることで村の結束は強まるので、その輪の中に居続けようとして、集団での陰湿ないじめのような行為が行われます。

田舎への移住が盛んになっている昨今ですが、噂話や村八分がヒトの本能から来ていることを知らずに、安直な解決方法でなんとかしようとするのは危険かもしれないなと感じました。