スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)を読んで(中編)

前回に引き続き、スマホ脳という本のご紹介です。

前回は人間の脳は現代社会に最適化されておらず、森の中で狩猟生活をしていた危険な環境に最適化されたままであることを書きました。

今回はなぜ人間がスマホに夢中になるのかという部分をご紹介します。

人間はドーパミンによって注意を引く

人間が何かに注意を向けるとき、脳はドーパミンを出しています。

例えば、皿の上に美味しそうな肉がのっているのを見た時、脳はドーパミンを出します。

それによって、人は肉に対して注意を向け、それを食べたいと思います。

つまり、ドーパミンを出させるものに対して人は注意を向ける、ということになります。

これが答えです。

つまり、スマホはドーパミンを大量に出せる物なのです。

人間が好きな物

ドーパミンがでるタイミングをいくつか挙げます。

新しいことを学ぶ・発見する

新しい土地を知り、そこに果実が大量に実った木があることを発見できたら、その人は他の人より生き延びる可能性が高くなります。

より生存力をあげるために、新しいことを発見した時にドーパミンが出るようになっています。

そのため、人は新しいことを発見することが好きです。

かもしれない、という可能性

…かもしれない、というのが脳は好きです。

この木は見た目は果実がないが、登ってみたら美味しい果実が実っているかもしれない。

アクションを起こすことで、人は他の人が見つけられなかった果実を見つけることができるかもしれません。

…かもしれない という期待があるときに、ドーパミンがでて人は行動を起こすようになっています。

スマホは人間の脳をハックする

スマホは、この「新しい発見」や「かもしれない」という状況をうまい具合に実現しています。

今やどこにいてもインターネットによって新しいことを知ることができます。

また、SNSでのあなたの投稿に対して「いいね」がついているかもしれない、という期待を持たせます。

そして、IT業界のトップでは、脳科学者を雇い、人が最大限注意を向けるようにアプリケーションを作っています。

例えば、スワイプ 一つにしてもそうです。

スワイプ するという動作によって、人は次に何がくるのだろう(かもしれない)という期待を持ちます。

また、画面を更新する時も、すぐに更新するのではなく1秒程度待ち時間があります。

その待ち時間によって、人は「かもしれない」を考えます。

これはパチンコなどのギャンブルと同じ仕組みです。

このようにして、人にとってスマホというのはものすごく注意を向けるに値するものなのです。

つまり、1日に何百回もドーパミンを出させるスマホという存在から、目を話せなくなります。

それは、おいしい食べ物や睡眠を超えるほどのものなのです。

まとめ

スマホというものが原理的にも人間の注意を集めるようになっていることが、論理的に書かれていてとても納得しました。

また、実はIT業界のトップ、例えばスティーブ・ジョブズなどは、このことをもちろん知っており、あまりに注意を引きつけすぎて人間に悪影響を与えることも知っているので、自分の子供に対してはスマホなどの機器を近づかせないようにしているようです。

これほどに、スマホというのは魔力をもった危険なものだった、ということになります。

このことを知ると、いかに一般大衆がトップの人間たちに支配されているのかが痛く感じました。